初代iichan1号との出会い

 

iichan1号に出会うまでは、50㏄のスクーターに乗っていた。通勤以外にはほとんど乗らなかった。というか、乗る気が起こらなかった。

スクーターはホントに便利な乗り物だ。ギアチェンジの必要がない、シートの下に大きな物入れがあるのでカッパをいつも入れておけるし、ヘルメットだって入る。でも、なぜか愛着がわかない。単なる移動の道具だ。考えてみると、ほとんどプラスチックで出来ているし、自分でいじれる部分が少ない。プラグ交換さえ簡単に出来ない。以前からカブには興味があった。でもなかなか踏ん切りがつかなかった。スクーターの便利さに負けていた。

ところがある日、何を思ったのか単車屋に電話していた。「カブ90の中古ある?」。買うなら90と決めていた。馬力があるし、二人乗りも出来る。「今ちょうど2台あるで」。単車屋のおっちゃんが言った。仕事の帰りに寄ると、カスタムとデラックスが1台ずつあった。カスタムはやめて、デラックスを見た。少し錆びている。メーターを見ると3万㎞ちょい走っている。「ちょっと走り過ぎとちがうん?」と言うとおっちゃんは、「あと10年は乗れるで」と言う。しかも、「90の中古は、なかなか出えへんで!」と追い打ちをかける。ここのおっちゃんは信用できる人だったこともあり、とうとう誘惑に負けて購入することに。iichan1号がやってきた。

以前、VWビートルという車に乗っていたことがある。カブはなぜかビートルに似ている。ロングセラーで質実剛健、そしてどことなく「かわいい」。仕事の帰り駐車場に行った時、ポツンと待っている姿を見ると、「よう待っててくれたな。かわいいやっちゃ。」と撫でてやりたくなる。なぜだか解らないが、両方ともそういう気持ちにさせる不思議な乗り物だ。そして、乗っていて楽しい。スクーターに乗っているとき、楽しいと思ったことは一度もなかった。カブに乗ると、高校時代二輪の免許を取って初めて単車に乗った時の感動、わくわく感が蘇った。

スクーターに乗っているときは、ガンガン飛ばした。追い越されると腹が立った。カブに乗っている今は、ゆっくり走る。追い越されても不思議と腹が立たない。90㏄ということもあって、追い越そうと思えばいつでも追い越せるという心のゆとりも手伝っているのかも知れない。

通勤以外での僕のカブの乗り方は、散歩的だ。田舎の路地や田んぼの道、そこから山の中へ入って行ったりもする。スピードは超低速。3速だとカクカクいう程の低速で走る。音が静かなので、周りの音もよく聞こえるし、二人乗りの時は話をしながら走れる。

先日、カブで子供を迎えに行った。少し遠回りして帰った。海の近くの橋を渡った。カーブを切りながら登っていく。向こうに海が見える。潮のにおいの風が気持ちいい。バックミラーに映る子供の笑顔が輝いていた。iichan1号に会えて良かったと思った。

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スーパーカブで散歩 iichan1号でぶらぶら